海辺で出会ったホンヤドカリの飼育方法を分かりやすく解説

生き物

海岸での散策中に綺麗な貝殻を拾ったと思ったら、それがヤドカリだったなんてことはありませんか?

この記事ではヤドカリの飼い方について解説していきますね。

ホンヤドカリ(水棲ヤドカリ)とは

インターネットでヤドカリの情報を調べると、ほとんどの情報はオカヤドカリ(陸生ヤドカリ)に関するものです。

オカヤドカリは沖縄などに生息し、天然記念物としても知られていますが、潮だまりで見つかるヤドカリは大抵海生のホンヤドカリです。

ホンヤドカリとオカヤドカリでは飼育方法が大きく異なるので、この点は特に注意が必要です。

海辺で見つかるヤドカリは、以下の種類の可能性が高いです。

  • ホンヤドカリ(一般的に多く見られ、知能が高いとされています。全体の約80%がこの種類と推定されています。)
  • イソヨコバサミ(特徴的な水玉模様の手足を持ち、比較的臆病な性格。身体に比べて大きめの殻を好む傾向があります。)
  • ケアシホンヤドカリ(触覚が赤く、手足に毛が生えているのが特徴です。)

ホンヤドカリはどうやって息をしてる?

海で見つけたヤドカリは、鰓(えら)を使って呼吸しています。これは彼らが海水中の酸素を効率的に取り込むための特徴です。

そのため、ヤドカリを飼う際には海水が不可欠となります。ただし、単に食塩水を作るのではなく、人工海水を用意することが重要です(詳しくは後述します)。

乾燥した状態で一晩を過ごしても生き延びていました事例もありますが、それでも適切な環境を整えることが肝心です。

ヤドカリの飼育に必要なもの

ヤドカリの飼育を始める際に必要な物品は以下の通りです。これらはほとんどがホームセンターで購入可能です。

  • 水槽(ガラス製またはプラスチック製)
  • 人工海水の素
  • 比重計(初めは必須ではありませんが、後で役立ちます)
  • 水質フィルター
  • サンゴ砂(または適切な底砂)
  • ヤドカリ用の餌(ザリガニ用の餌でも適切)
  • 新しい貝殻(引越用)
  • 隠れ家

水槽

ホンヤドカリは水中で生活するため、水槽にはたっぷりと水を入れることができます。ただし、水量が少ない場合は水質が悪化しやすく、頻繁に水を替える必要があります。

一方、水槽を満たすと、食べ残しや排泄物が水質を著しく悪化させることは少なくなります。週に一度、水の3分の1程度を交換するのが理想的です。

横幅30cmの水槽では、約10匹のヤドカリを飼育できますが、余裕を持たせることを推奨します。

人工海水

自然の海水には多様なミネラルが含まれており、これを模倣するために人工海水の素が必要です。

一般の水道水に含まれる塩素(カルキ)は、多くの人工海水の素では問題ありませんが、浄水器を通した水は使用を避けるべきです。

これは、浄水器がしばしば銀イオンを使用しており、これが小さな生物に対して有害な場合があるためです。また、自宅が海に近い場合は、天然の海水を利用することも可能ですが、フィルターを使用して清潔に保つことが重要です。

比重計

比重計は水の塩分濃度を測定するための道具です。

人工海水を適切な割合で作成すれば、濃度が大きく狂うことはまれですが、特に夏場には水の蒸発により濃度が変わる可能性があります。

水温の変化によっても比重は変わるので、測定前に水を室温に戻すことが大切です。

フィルターと空気ポンプ

水質を維持するためにはフィルターが必要です。フィルターに棲むバクテリアが排泄物や食べ残しを分解し、水をきれいに保ちます。

また、ヤドカリは水中の溶存酸素を利用するため、空気ポンプで水面を揺らして酸素を溶け込ませることが必要です。特に夏場は、水中の酸素が減少しやすいため、空気ポンプが特に重要になります。

水が浅くて頻繁に水を交換できる場合は、空気ポンプが不要な場合もありますが、一般的には多めの水とフィルターの使用を推奨します。

フィルターは定期的に水槽の水で洗浄し、バクテリアを保持しながら長期間使用することが可能です。ただし、水道水で洗浄すると、バクテリアが死んでしまうので注意が必要です。

底砂(サンゴ砂)

ヤドカリが容易に移動できるように、底砂を用意します。

サンゴ砂が推奨されますが、その他の底砂も適切です。サンゴ砂は炭酸カルシウムが主成分で、水と反応してpHを弱アルカリ性に保ちます。

砂の粒径は細かすぎるとフィルターの詰まりの原因になるため、3mm~1cm以下の大きさが適切です。オカヤドカリと異なり、ホンヤドカリは細かい砂ではなくても問題ありません。

エサ

ホンヤドカリは自然界では魚の死骸や藻類などを食べます。

市販の沈下性ザリガニの餌でも十分ですが、より自然に近いものを与えたい場合は、塩抜きしたワカメやしらす、アサリ、煮干し、おきあみなどが良い選択肢です。

食べ残しは水質の悪化の原因になるため、定期的に取り除くことが重要です。ヤドカリは少食なので、小さめの個体には市販の餌を1粒与えるだけで十分です。過剰な餌やりは避けましょう。

貝殻(引っ越し用)

成長するにつれ、ヤドカリは貝殻を変える必要があります。拾った海辺で様々な貝殻を集めるのが理想的ですが、なければ専門店やネットで購入することもできます。

貝殻の引越しは、ヤドカリにとって重要な行動であり、観察するのも楽しいです。適切なサイズの貝殻を選ぶことが大切で、時には海外製の綺麗なな貝殻を選ぶこともできます。

隠れ家

ヤドカリは臆病な生き物であり、隠れ場所を提供することで安心します。小さい植木鉢や石、植物など、様々な隠れ家を用意しましょう。

これにより、ヤドカリ同士の喧嘩を減らすことができます。

ヤドカリの生態

ヤドカリは、日中も活動することはありますが、基本的に夜行性の生物です。そのため、昼間に動かないからといって、無理に触るのは避けましょう。

意外かもしれませんが、ヤドカリの寿命は非常に長く、10年から15年とされています。これを考えると、ヤドカリは長期的な付き合いが必要なペットであることがわかります。

また、もし飼いきれなくなった場合は、元の海に戻すことが大切です。

異なる環境に放すと、元々住んでいるヤドカリとのトラブルが起こってしまうからです。

ヤドカリ飼育方法まとめ

ヤドカリの飼育を通じて、海での観察以上に多くの発見や驚きがあります。ヤドカリの不思議な生態や愛らしい行動は、見ているだけで癒やされるものです。

子供たちと一緒にヤドカリの本を読んだり、彼らの生態を学ぶことも、親子のコミュニケーションや教育にとって良い機会になると思いますよ。

ヤドカリの飼育は、自然への理解を深め、生き物に対する尊重の心を育む素晴らしいことです。ヤドカリの飼育をぜひ親子で楽しんでくださいね。

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