あさりは、潮干狩り後にクーラーボックスで冷却しながら家に運びます。
ここでは、あさりを家に持ち帰る際のポイントを解説します。
潮干狩りで捕れたあさりを、傷めることなく、新鮮な状態で運びたいと考えるなら、物理的なダメージを避け、適切に温度を管理することがカギとなります。
あさりの扱い方を学び、その輸送に最適な手段を選択してください。
潮干狩りで見つけたあさりの運び方:「海水抜き」での持ち帰り
あさりの家への持ち帰り方には大きく分けて二つの手法が存在します。
- 海水を使わずに運ぶ方法
- 海水につけて運ぶ方法
あさりが傷つくことなく、元気な状態を保つためには、「海水を使わずに運ぶ」手法が推奨されます。
「海水不使用」であさりを持ち帰る根拠
あさりが損傷や弱りを避けるために考慮すべき主な要素は、「振動」「海水の使用」「温度管理」に集約されます。
輸送中の振動からあさりを守る:貝の閉じ保持
輸送する際、特に注意すべき点は「振動」です。
振動が原因であさりがダメージを受けることがあります。
輸送においてあさりを積み重ねることが多いため、下にあるあさりは通常よりも大きな圧力を受けます。これにより、あさりは貝を開けることが難しくなり、開いた後に閉じる際に自身を挟んでしまうことも。これが原因であさりがショックを受け、傷ついたり弱ったりすることがあります。
避けがたい輸送時の振動からあさりを保護するには、貝をしっかり閉じさせておくことが一つの解決策です。
海水を使用すると、あさりへの衝撃や圧力が緩和されるものの、貝が開くことで傷つきやすくなる点も留意が必要です。
あさりの生存期間:海水抜きでも日数を保つ
あさりの本来の生活環境としては、海水中が理想とされています。
とはいえ、適切に温度を管理すれば、陸上でも水を離れてから7日を超える生存が可能であることが明らかになっています。
この事実を踏まえると、数時間程度の輸送期間中であれば、温度を適切に調整することで、海水を使用せずともあさりを無事に持ち帰ることが可能です。
※最終的には、海水がない状況下でもあさりがどれほど生き延びるかについての情報を紹介します。
海水から上げた後にすぐ死ぬわけではないものの、海水不在があさりにとって不利な条件であることは間違いありません。ご家庭に着いたら、早めに海水に戻してあげることが推奨されます。
持ち帰り時の適切な温度管理:15℃を目安に
あさりを自宅に運ぶ際、温度の管理が重要です。
水揚げ後のあさりは、気温が15℃の環境下では7日を超える生存が見込めますが、20℃を越えた場合、生存期間は約3.5日に短縮します。そのため、持ち帰り時は15℃以下を維持することが望ましいです。
しかし、過度に冷やすことも避けるべきで、0℃未満ではあさりが弱ってしまう可能性があるため、氷が直接あさりに触れないようにすることが推奨されます。
さらに、あさりが元々生息していた水温との急激な変化も避けるべきです。例えば、2016年の東京湾では、4月には約15℃、5月には約18℃、6月には約20℃、7月には約23℃と温度が変化します。
このため、7月に収穫したあさりを氷で冷やすと、20℃近い温度差が生じてしまい、あさりにストレスを与えてしまうことになります。この点には特に注意しましょう。
※最後に、あさりが適応できる温度範囲についての情報を紹介します。
あさりの運び方(海水不使用)
こちらでは、あさりを家へ持ち帰る際の手順を解説します。
清水で徹底的に洗浄
潮干狩りで得たあさりは、現地で丁寧に洗いましょう。
普通の水または水道水を使ってしっかりとこすり洗いし、腸炎ビブリオ菌などの細菌を取り除きます。この洗浄方法は、輸送中にあさりが口を開けにくくする効果も期待できます。
クーラーボックスであさりと保冷材を使って輸送
あさりはクーラーボックスを利用して運びましょう。
保冷効果を高めるために、保冷剤をクーラーボックス内に配置します。あさりと直接接触しないように、保冷剤は新聞紙で包むことが推奨されます。
クーラーボックスが手元にない場合でも、工夫次第であさりを冷やした状態で持ち帰ることができます。適切な温度管理さえできれば大丈夫です。代わりに発泡スチロール箱や保冷バッグを使用するのも一つの方法です。
砂抜き用の海水も一緒に持ち帰ることを忘れずに
あさりの砂抜きを行うため、海水も一緒に持ち帰ることを忘れないでください。ペットボトルなどに入れて運びます。
理想的には、砂抜きを2回行える量の海水を持ち帰ることが望ましいです。
海水を使用してあさりを持ち帰る方法
潮干狩りで得たあさりを海水を使って家に運ぶ方法にも触れましょう。
利点は、輸送途中である程度砂を抜くことができる点です。
しかし、欠点も存在します:
- あさりがダメージを受ける可能性がある
- 運搬中の揺れで砂が完全には抜けない
- 自宅でさらに砂抜きが必要となり、手間がかかる
海水を使わない場合と基本的な手順は変わりませんが、異なるのはクーラーボックスの底を高くして、あさりと海水を一緒に入れることです。これにより、あさりが排出した砂が底に沈み、再び吸い込むことがないようにすることがポイントです。
砂抜きをできるだけ早く済ませたいという目的がある場合には、この方法を試してみる価値があります。
あさりに最適な水温範囲
あさりの理想的な生息環境を示す水温、その適正な水温、さらに東京湾の水温範囲について調査し、その結果をまとめました。
- 東京湾の平均水温範囲は10℃から27℃です。
- あさりにとっての適正な水温範囲は0℃から28℃とされています。
- あさりが自然に生息する水温範囲は-2℃から32.5℃です。
- 水温が32.4℃を超えると、あさりは24時間以内に死亡するリスクがあります。
さらに、あさりが特に活発になるのは、水温が約20℃の時です。これは、各温度範囲の中間にあたる温度であり、人が快適と感じる温度とも近いため、あさりの活動性が高まるのは自然なことです。
夏場には水温が上昇するため、この時期に砂抜き作業を行うことはあさりにとってリスクが伴います。不快な温度であさりを保管することは避けるべきです。
陸上でのあさりの生存期間
陸上、特に海水がない状況下でのあさりの生存能力をまとめました。
空気中で、気温が0℃から15℃の範囲であれば、あさりは7日以上の生存が可能です。
温度による耐性の差が顕著で、夏期に比べて冬期のあさりは低温により強い耐性を示します。
特に、-5℃では約9時間の生存が確認されていますが、これは冬期におけるあさり特有の現象です。
漁業関係者からは、できる限り海水から取り出さないよう勧められていますが、潮干狩りのシーズンには気温が20℃に近い日が多く、その環境下であさりを長時間放置すると損傷するリスクがあります。
あさりの酸素不足に対する耐性
あさりは酸素レベルが低い環境に対しても高い耐性を持っています。
この情報があさりを持ち帰る際に役立つことを願っています。