大根の内部が青っぽくなる理由とは?食べていいものか…対処法、予防策を徹底解説

食材

見た目が完璧な大根を切り分けた際、その中身が意外にも青くなっていることに驚いた経験はありませんか?

このような現象を目の当たりにすると、「腐敗してしまったのでは?」と心配になるものです。

しかし、大根の青い部分には、その色を生じさせる特定の原因があり、実際のところ食べられるのか、またどのように対処すべきか、予防策はあるのか等、

この記事ではそんな疑問について詳しく解説していきます。大根に関する知識を深め、賢く利用するためのポイントを学んでみましょう。

大根が青く変色する原因

「ダイコン青変症」とは

一見健全に見える大根が切断時に青い色を呈する現象は、一般に「ダイコン青変症」として知られています。農業分野では「青あざ症」とも呼ばれるこの状態は、大根の生育過程で生じる自然な反応です。

ダイコン青変症の主要因は、生育中の土壌の温度と湿度が高くなることでホウ素の吸収が阻害されることです。

野菜や果物の成長に欠かせないホウ素不足は、大根の芯部を青く変色させることがあります。この現象は20℃前後で特に発生しやすく、品種によって感受性に差があることが研究によって明らかにされています。

長らくアントシアニン系色素の一種と推測されていましたが、最新の研究ではアブラナ科植物特有の成分が酸化し青色物質群として現れることが判明しています。

出典:農林水産省

おろした大根の変色現象

すりおろした大根が時間経過とともに青く変色することもあります。これは前述のダイコン青変症ではなく、空気にさらされることによる酸化反応の結果です。

大根に含まれるポリフェノールとその酵素であるポリフェノールオキシダーゼが、細胞壊れるときに酸素と反応して変色を引き起こします。一般的には茶色に変色することが多いですが、稀に青色に変わる場合もあります。

青カビとの区別

大根を切った際に青い色が見られると、しばしば青カビの発生を疑うことがあります。しかし、前述したように、これは細菌やカビの作用ではなく、大根特有の自然な反応です。

ただし、カビが生えることも全くないわけではありません。断面にフワフワしたものが付着していたり、特有のカビ臭があったりする場合、カビの可能性が高く、その部分は食べ避けるべきです。

青首大根とは

一部の皮が青緑色をしている大根は、「青首大根」と呼ばれる品種です。日本でよく見かけるこの品種は、根元が地表に露出し、太陽光によって葉緑体を生成し、その結果、上部が青く見えます。

ただし、青首大根の内部まで緑色になることは稀で、一般に皮を剥けば内部は白色です。腐敗による変色ではないため食べることができます。

青変した大根の食用可否

ダイコン青変症により内部が青くなった大根は、腐敗しているわけではないため食用に適しています。

ただし、青変によって食感が硬くなったり、苦味が出ることがあります。そのため、調理方法を変えることで、より美味しくいただけます。

進行した青変症による広範囲の変色は、調理法では補い切れないことがあります。見た目が良くない場合や味が落ちる場合、購入した店舗に相談するのも一つの方法です。

酸化によるすりおろし大根の青変も食べることが可能ですが、見た目や辛味は落ちてくるので早めに食べることをお勧めします。

青変大根のおすすめ調理法

大根おろしとしての利用

青変症を起こした大根は、すりおろすことで青い色が目立たなくなります。

固くなった食感も、すりおろしにすることで軽減されます。ただし、苦味が強い場合が多いので、みぞれ煮やあんかけなど、味付けを工夫して使用すると良いでしょう。

煮物や汁物への活用

青変した大根を煮物にすると、色の問題はほぼ解消され、食感も柔らかくなります。

苦味を和らげるために、お米の研ぎ汁で下茹でを行う方法も有効です。

美味しい大根の選び方

青首大根の色の強さ

市場に多く出回る青首大根は、太陽光を十分に浴びることで色が濃くなります。

ただし、白首大根などは太陽光を浴びても色が変わらないため、品種による違いも考慮する必要があります。

根の白さ

大根の根部の白さは、鮮度の良い指標です。

皮の白い部分がくすんでいないことを確認しましょう。

品種によっては外皮の色が異なることもあるので、その点も考慮する必要があります。

ハリとツヤの存在

収穫されたばかりの大根は水分を多く含み、ハリとツヤがあります。

時間が経過するとこれらが失われるので、新鮮さを確認するためには重要なポイントです。

ひげ根の状態

新鮮な大根はひげ根が少なく、浅い毛穴が特徴です。ひげ根が真っ直ぐ並んでいることも新鮮さの証です。

葉の状態

大根の葉がみずみずしく放射状に広がっている場合、鮮度が高い証拠です。葉の水分量は鮮度の良い指標になります。

葉の茎の断面

葉の茎の断面に空洞がないことを確認します。空洞がある場合、大根本体にも空洞がある可能性が高いです。

カット断面の状態

カットされた大根を選ぶ場合は、断面が乾燥していないかをチェックします。みずみずしさは鮮度の良い指標です。

重みと固さ

新鮮な大根は重く、固さがあります。水分が多いほど重く、鮮度が高いことの証拠です。固さも新鮮さを判断する重要な要素です。

大根を鮮度高く長持ちさせる保存のコツ

大根を美味しく長持ちさせるためには、適切な保存方法が不可欠です。保存方法を工夫することで、新鮮さを保ちつつ、長期間大根の美味しさを楽しむことができます。

常温での保存法

大根を丸ごと一本で保存する場合、常温での保存が可能です。この方法であれば、約1~2ヶ月程度鮮度を保つことができます。

丸ごと一本の保存方法

大根の葉は先に切り落とし、根元から1cm程度を残してカットします。

乾燥を防ぐため、切り口にはラップを巻きます。次に新聞紙で全体を包み、冷暗所で保存します。

直射日光を避けることが重要です。

大根は元々土の中で育つため、同じような環境で保存することが、鮮度を保つ秘訣です。

すでにカットされた大根や、使用後に余った大根は常温保存には向きません。これらは後述する別の保存方法を選ぶべきです。

大根の葉も料理に活用できます。葉の部分の保存方法については、当サイトの別の記事で詳細に解説しています。

冷蔵庫での保存法

室温が高い場合や、カットされた大根は冷蔵庫で保存します。

丸ごと一本の冷蔵保存

丸ごとの大根を冷蔵する場合も、葉を切り落とし、切り口にラップを巻いて新聞紙で包みます。これを野菜室に立てて保存すると良いです。この方法で約2週間は保存可能です。

カット大根の冷蔵保存

カットされた大根は、ラップまたはキッチンペーパーで包んだ後、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保管します。

大根を3等分に切ることで、味や食感の異なる部分を適切に保存できます。約1週間が消費の目安です。キッチンペーパーが湿った場合は交換してください。

切り方に合わせた保存

大根を乱切りやいちょう切りなど、料理に合わせてカットした場合も冷蔵保存が可能です。

保存用のジッパー付きポリ袋に入れて保管し、2~3日以内に使い切るのが望ましいです。

大根の皮の保存方法

大根を剥いた後の皮も捨てずに保存しましょう。皮はきんぴらや漬物など、様々な料理に活用できます。

冷凍での保存法

大根を冷凍することもできますが、冷凍前の処理がポイントです。適切に処理し保存すれば、約1ヶ月の保存が可能です。

すりおろし大根の冷凍

大根のすりおろしは冷凍保存に適しています。

水分を軽く切った後、冷凍用保存袋に平らに入れて冷凍します。

急速冷凍機能を活用すると、より良い状態で保存できます。解凍時は自然解凍が適しています。

茹で大根の冷凍

ブランチング(下ゆで)した大根は、変色しにくく、食感を保持しやすいです。

薄くスライスして固めに茹でた後、冷凍保存袋に入れて冷凍します。解凍時はそのまま調理に使用できます。

下味をつけた冷凍

塩と砂糖を振った大根は、冷凍後も味が染み込みやすくなります。

好みのカットにした大根に塩砂糖を振り、保存袋に入れて冷凍します。凍ったままの使用が可能です。

煮物向け冷凍

だしで煮た大根を冷凍すると、味が染み込んでいるため、煮物やおでんにそのまま使用できます。

冷凍後は凍ったまま調理に利用することができます。

食べるべきではない大根のサイン

全体的に茶色く変色

新鮮な大根は白い色をしていますが、茶色く変色している場合、赤芯症や黒芯症など特定の生理現象が考えられます。

これらは環境条件によるものです。変色部分を取り除けば食用にできます。

また、ポリフェノールの酸化による茶色変色も見られますが、これは腐敗の兆候ではないため、早めに消費すべきです。

葉の黄変

新鮮な大根の葉は鮮やかな緑色をしていますが、黄色くなっている場合、べと病や黒腐病の可能性があります。

これらは病気ですが、市場に出回ることは少ないです。

変色している部分を除けば食用にすることはできます。

カビの発生

カビが生えている大根は避けるべきです。カビの部分を除去しても、他の部分にもカビ胞子が広がっている可能性があります。

特に敏感な人や小さな子供は避けた方が無難です。

異常な柔らかさ

腐敗が進むと大根は異常なまでに柔らかくなります。

ただし、収穫後の鮮度が落ちただけの場合もあり、その場合は食用にすることは可能です。

しかし、全体が著しく柔らかくなっている場合は廃棄することをお勧めします。

ヌメリの発生

ヌメリがある大根は腐敗が進んでいるサインです。ヌメリがある場合は食べることを避けるべきです。

ドロッとした汁

腐敗が進むと大根からドロッとした汁が出てくることがあります。このような状態の大根は食べるべきではありません。

酸っぱい臭いや味

大根が腐敗すると酸っぱい臭いを放つことがあります。

異臭を感じた場合は食べずに廃棄することが望ましいです。味にも異変を感じたら、食べるのを中止してください。

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